
僕の実父になる「ひさいち」。これが、相続で揉めた根本の原因である。僕は、この人が嫌いだ。昔っから、理屈っぽく、決めつけて物を話す。ネガティブな事しか言わへん。とにかくケチ。ほんまによくケンカした。まさに、昭和の団塊の世代ってやつ。普段、本を読まない僕が、「流星ワゴン」って本に共感し読んだ事があるが、そのチュウさんって言う父親役がそっくり。ただ、原作の チュウさん は最後良い人だったと終わるが、悲しいかな・・・

俺の事か?おう?また悪口か?おう?

めんどう臭いなぁ。出てこんでええねん。ただ、尊敬しているところもある。とにかく人懐っこい性格で、初対面でも誰とでも仲良くなる。豊臣秀吉って、有名な人たらしと言うように、そんな感じで、特に年上に好かれてかわいがられる。また、年下からも慕われる。結果、友達がたくさんいる。そして、気がつけば寄生する。この能力は僕にはあらへん。

お前も、友達みたいなもんや。

一緒にお酒を飲んで、話す事はあったかもしれんけど、親は親やし自分がやってきた不始末を子供に投げつけて、後は知らんみたいなん、親やないやろ。あっ、そうか、この人父親おらんねんやった。やっぱり、この人の事を話さんとあかんか。ひさいちは、祇園のお茶屋で生まれ育った希少な人間でした。

そうそう、わし父親知らんから父親でけんねん!

アホか、その人に育てられた僕も、そしたら父親知らんから父親でけんっちゅう事か?
んな訳あるかい。みんな手探りで父親しとんねん。といつも話をすりかえて脱線させてきよるんやわ。あー嫌い。ひさいちの母親(僕の祖母)は、祇園の花見小路を南下した歌舞練場の近くにある一等地のお茶屋を経営していた。とにかく、パワフルで優しくて、でも商売人でいっつも僕と遊んでくれて、「これ欲しいねん」って言うたら、なんも言わんとすぐ買ってくれた。ほんまに大好きやった。小さい頃、「なんで、おじいちゃんおらへんの?」ってゼブラに聞くと?

さぁ?病気で亡くならはったんやわ。

そうか。そらおばあちゃん大変やったんやなぁ・・・大人になって初めて、
おばあちゃんは、〇〇会社の社長さんとの子供で、祇園ではよくある話みたいやけど、手切れ金で花見小路の店を持たせてもらった。〇〇会社は、魔法瓶を扱ってる会社らしい・・・そら子供に言えへんわな。しかし、K松家の祖父と祖母が良くゼブラとひさいちの結婚を認めたなぁ。絶対あかんやつやん。そう言えば、ゼブラが駆け落ち寸前やったって言うてたわなぁ。K松家の祖父と祖母が諦めたんやろな。ゼブラも人の話聞かへんからなぁ。と言う訳で、ひさいちは幼少からお茶屋の息子で片親で祇園というとてつもない環境で育つ。しかし、お茶屋の祖母はお金は持っていたので、ひさいちには何でも買って甘やかして育てる。きっと怒った事ないんちゃうかなぁ。それが、怪物ひさいちが誕生するのである。
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